seikacatのブログ

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宝塚歌劇について誰もとりあげない偏った話をしていきます。

宝塚歌劇団の法人化と労働条件の変更 現時点でのまとめ

〇宝塚歌劇団の法人化と労働条件の変更について、重要なポイントを整理させていただきます。

主な変更点:

  1. 組織体制の変更
  • 2024年4月1日に「株式会社宝塚歌劇団」を設立(阪急電鉄100%出資)
  • 7月をめどに法人化を完了予定
  1. 雇用形態の変更
  • 入団6年目以降の劇団員も雇用契約に移行
  • 専科メンバーはタレント契約となる
  • これまでは5年目までが雇用契約、6年目以降は業務委託契約だった
  1. 労働条件の改善
  • 給与体系の再整備
  • 3月以降、必要な稽古は労働時間として認定
  • これまで労働時間外とされていた自主稽古の一部を、管理下で労働時間として扱う

 

これまで宝塚歌劇団は、2022年の事件を受けて業務委託契約を結ぶフリーランスの俳優を、実質的には雇用された「労働者」だったとみなし、労務管理の不備を指摘するというごくごく当たり前な勧告を何度か受けていました。

 

www.nikkei.com

 

この改革の背景には、2022年9月に発生した宙組劇団員の転落死事故があります。

 

www3.nhk.or.jp

当初パワハラを否定していた歌劇団が、その後パワハラと過重労働を認め、遺族に謝罪し合意に至ったことが、今回の改革を促進した要因の一つと考えられます。

 

これらの変更は、劇団員の労働環境改善と権利保護を目的とした重要な制度改革といえます。

特に稽古時間の労働時間認定は、過重労働防止の観点から意義のある改善だと考えられます。

 

 

〇問題点

 

しかし、この改革には課題もあります。例えば、労働時間の管理強化は、これまでの自由な稽古環境で保たれていたかもしれない高い生徒たちの技術はどれだけ維持できるものなのか。

 

また、雇用契約への移行に伴う経費増加は、チケット価格や公演形態にも影響を及ぼす可能性があります。

 

生徒が雇用形態での社員であるとするならば、非公式ファンクラブ(通称「(生徒の名前)会」)での、ファンミやチケッティングは副業とみなされるのか?

 

〇総括

それでも、この改革は避けては通れない道です。

近年、エンターテインメント業界全体でハラスメント、社会的な労働時間短縮傾向、少子化などで働き方改革が進められる中、宝塚もまた、伝統を守りながら時代に適応していく必要があります。

 

法人化後の宝塚がどのような進化を遂げていくのか、これまでのような華やかな舞台を維持しながら、劇団員たちにとってより健全な環境を作り出せるのかは未知数です。

 

(個人的意見としてこれまでの劇団の不誠実な対応をかんがみるに、不安を覚えています)